彼はラッパーとしてよりはプロデューサーとして知られていたが、MCAからリリースするはずであったアルバムにおいてラップに徹して、プロダクションについては彼が認めるアーティストであったマッドリブ、ピート・ロック、Hi-Tek、Supa Dave West、カニエ・ウエスト、NottzやWaajeedらに依頼した。しかし、このアルバムの音源自体は完成していたものの、2003年にMCAがゲフィン・レコードに吸収されたことを受けて、リリースされずにお蔵入りとなってしまった。ちなみに同作は、2016年に『ザ・ダイアリー』としてリリースされた [2][3]。
しかし、『ドーナツ』に次ぐオリジナルアルバムとして『The Shining』や『Jay Love Japan』がリリースされたのみならず、彼の死後に出た多くのアーティストによる新譜にもJ・ディラの名前がクレジットされている。未発表音源集や廃盤になっていた音源が続々と発表/再発されるなどしてJ・ディラの音源は世に出続けており、彼の名前は今でもレコードショップの新譜コーナーで見ることができる。その内容や生前の活躍に対して様々なアーティストが哀悼の意やトリビューソングが発表されている。また、メディア/レコードショップなどで「ネクストJay Dee」という表現でJ・ディラに強く影響を受けた新人の作品がフックアップされていることも多い。